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生体力学:超高速の流体力学的トリガー波を介した、細胞間の集団的コミュニケーション

Nature 571, 7766 doi: 10.1038/s41586-019-1387-9

センサー(感覚装置)とアクチュエーター(駆動装置)との間の生物物理学的な関係は、複雑な生命体の発達において基礎となってきた。遊泳性の生物は水生環境でも持続する豊富な流れを生み出し、外部からの刺激に迅速に応答することが生存に重要である。今回我々は、原生生物スピロストマム属(別名ネジレグチミズケムシ属)の一種Spirostomum ambiguumの細胞集団において、連鎖反応に似た様式で遊泳速度よりも数百倍速く伝播する「流体力学的トリガー波」を発見したことを報告する。スピロストマム類は、細胞骨格をらせん状に巻くことによってその長い体を数ミリ秒以内に60%収縮させることができ、このとき受ける加速度は最大で14gに相当する。我々は、単一の細胞収縮(送信者)が中間レイノルズ数で長距離の渦流を生み出し、それが次いで隣接する細胞(受信者)の動作を引き起こせることを示す。これらの受信者細胞の流体力学的信号に対する感度を測定するため、我々は、細胞膜にかかる微視的な力の逆算により機械刺激感受性イオンチャネルを調べることのできる、ハイスループットの吸引–フロー装置を開発した。発見された超高速流体力学的トリガー波を、アンテナ理論とパーコレーション理論の普遍的な枠組みにおいて解析および定量的にモデル化することで、集団的なコミュニケーションの維持にコロニーの臨界密度を必要とする相転移の存在が明らかになった。今回の結果は、こうした信号の伝達が、共同生活する集団において長距離にわたる組織化を助け、遺伝子発現を介して長期的な行動に影響を及ぼす(クオラムセンシングと比較できる)可能性を示唆している。より即時的な面では、収縮により毒素が放出されることから、毒素放出の同調によって大型捕食者の自身への嫌悪を促したり、大型被食者の動きを止めることができる。我々は、原生生物の他にも多くの水生生物が、多様な流体力学的トリガー波を用いて行動を協調させている可能性があると仮定する。

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