Letter

量子物理学:ナノ機械振動子のエネルギー準位を分解する

Nature 571, 7766 doi: 10.1038/s41586-019-1386-x

振動する機械的な物体の量子性は、明白からは程遠い。機械振動子の古典運動を記述するコヒーレント状態は、明確に定まったエネルギーを持たず、等間隔のエネルギー固有状態の量子重ね合わせである。この量子化された構造を明らかにできるのは、エネルギーの測定精度が単一フォノンのエネルギーより高い装置だけである。この感度を実現する方法の1つは、振動子と原子との間に強いが共鳴しない相互作用を生じさせることである。量子コヒーレンスが十分な系では、この相互作用によって、原子の遷移周波数の分解可能な差を使う異なるエネルギー固有状態の識別が可能になる。光子に対しては、共振器や回路量子電気力学においてそうした分散測定が行われている。本論文では、駆動されたナノ機械振動子の運動エネルギーの量子化を分解するのに十分な感度で、人工原子がそのエネルギーを感知する実験について報告する。我々は、これを実現するために、ナノ機械圧電共振器とマイクロ波超伝導量子ビット(マイクロ波超伝導キュービット)を同じチップ上に集積したハイブリッドプラットフォームを作製した。そして、共鳴パルスでフォノンを励起し、生じたキュービットの励起スペクトルを調べて、キュービット線幅より約5倍大きい、フォノン数に依存する周波数シフトを観測した。今回の結果は、大きな結合、かなりのコヒーレンス時間、機械的モード構造の優れた制御を組み合わせた量子音響学用の完全集積化プラットフォームを実証するものである。我々は、この実験をわずかに改良するだけで、今回の方法によって、フォノンの量子非破壊測定が可能になり、チップスケールのナノ機械デバイスを使った量子センサーや情報処理法が得られると予想する。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度