Article
古人類学:アピディマ洞窟の化石から得られたユーラシアにおけるホモ・サピエンスの最古の証拠
Nature 571, 7766 doi: 10.1038/s41586-019-1376-z
1970年代後半にギリシャ南部のアピディマ洞窟で2点のヒト頭蓋化石(「アピディマ1」および「アピディマ2」)が発見されたが、これらの標本は不完全であり、タフォノミー的な変形が見られ、考古学的状況および年代が不明であることから、長く謎に包まれてきた。今回我々は、これら2点の頭蓋化石標本を仮想的に復元し、詳細な比較描写および比較分析を行うとともに、ウラン系列放射年代測定法を用いて年代を推定した。その結果、アピディマ2は年代が17万年以上前で、ネアンデルタール人に似た形態パターンを有することが分かった。対照的に、アピディマ1は年代が21万年以上前と推定され、現生人類の特徴と原始的な特徴とが混在していた。これらの結果は、この地域に初期のホモ・サピエンス(Homo sapiens)集団とその後のネアンデルタール人集団という2つの中期更新世後期ヒト集団が存在したことを示唆している。今回の知見は、初期の現生人類のアフリカからの分散が複数回あったことを支持し、ヨーロッパ南東部における更新世のヒトの進化とこの地域での現生人類の存在を特徴付けた複雑な人口学的過程を浮き彫りにするものである。

