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分子生物学:変異型mRNAの分解により引き起こされる遺伝的補償

Nature 568, 7751 doi: 10.1038/s41586-019-1064-z

遺伝的ロバスト性、つまり有害な変異の存在下で生物個体が適応度を維持する能力は、タンパク質のフィードバックループを介して実現できる。これまでの研究からは、生物が、このタンパク質のフィードバックループとは独立に、転写的適応、すなわち変異と関係のある遺伝子(群)の発現を上昇させる過程により、変異に応答する可能性も示唆されている。しかし、転写的適応の普遍性や、その基礎となる分子機構については分かっていない。今回我々は、ゼブラフィッシュとマウスの転写的適応についての複数のモデルを解析し、変異型mRNAの分解が転写的適応の必要条件であることを示す。変異を持つ遺伝子の転写が起こらない対立遺伝子では転写的適応が見られず、また、これらの対立遺伝子からは、変異型mRNAの分解が起こる対立遺伝子よりも重篤な表現型が生じた。変異型mRNAの分解を示す対立遺伝子のトランスクリプトーム解析から、変異を持つ遺伝子のmRNAと塩基配列が類似した遺伝子のかなり大きな割合が発現上昇していることが明らかになった。このことから、塩基配列依存的な機構が示唆される。これらの知見は、疾患を引き起こす変異についての理解につながり、また、転写的適応により生じる補償を最小限にした変異型対立遺伝子の設計に役立つと考えられる。

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