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フォトニクス:光機械システムにおけるフォノンモードの非相反的な制御と冷却

Nature 568, 7750 doi: 10.1038/s41586-019-1061-2

機械共振器は、重力波検出器から携帯電話まで、さまざまなデバイスの重要部品である。機械共振器は、低い散逸、多様な物理系との調節可能な結合、広範な周波数、物質、製造プロセスに対する適合性を実現することで、高性能のトランスデューサー、センサー、フィルターとして機能する。機械共振器システムは通常、どの2つの共振器間のフォノン透過係数も透過方向に依存しないことを確実にする、という相反性に従う。共振器間で音響エネルギーを一方向に伝搬するデバイス(アイソレーターやサーキュレーターなど)を実現するには、相反性を破らなければならない。そうしたデバイスは、能動素子の保護、雑音の軽減、全二重トランシーバーの動作に不可欠である。これまで、非相反フォノニックデバイスは、強い非相反性、in situでの調整能、小型集積化、連続動作などのロバストな動作に必要な特徴を同時に兼ね備えてはいなかった。さらに、非相反フォノニックデバイスは、ゆらぎや雑音ではなくコヒーレント信号だけに適用され、共振器ではなく進行波システムにおいてのみ実現されてきた。今回我々は、標準的な共振器–光機械相互作用を用いて、フォノニック共振器の間にロバストな非相反結合を実現する方式を報告する。この方式は、連続動作で約30 dBのアイソレーションをもたらし、共振器にかけた駆動トーンの位相だけで、in situで調節できる。さらに我々は、共振器のダイナミクスの直接モニタリングにより、この非相反性によって熱ゆらぎを制御でき、この制御がフォノニック共振器を冷却する手段となることを示す。

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