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量子物理学:フェルミオンが媒介するボース原子間の相互作用の観測
Nature 568, 7750 doi: 10.1038/s41586-019-1055-0
高エネルギー物理学および物性物理学では、長距離相互作用や長距離相関を理解する際に、粒子交換が極めて重要な役割を果たしている。例えば、有質量ボソンの交換から湯川ポテンシャルが生じ、超伝導体では電子間のフォノン交換によってクーパー対が形成される。本論文では、セシウム原子のボース・アインシュタイン凝縮体がリチウム原子の縮退したフェルミ気体中に埋め込まれると、種間の相互作用から、フェルミオンが媒介する有効捕獲ポテンシャル、減衰、ボソン間の引力相互作用が生じ得ることを示す。ボソン間の引力相互作用はルーダーマン–キッテル–糟谷–芳田機構と関連があり、これはコヒーレントな3体散乱過程に起因する。こうした媒介相互作用によって、新しい磁性相や超固体が形成されると予想される。我々は、この媒介相互作用が、適切な条件下で、安定なボース・アインシュタイン凝縮体を一連の「ボース・フェルミソリトン」へと変換できることを示す。今回の媒介相互作用に予測される長距離性は、遠く離れた原子を相関させ、新しい量子相を作る可能性を開く。

