天文学:銀河系中心の上下に伸びる数百パーセクのX線の「チムニー」
Nature 567, 7748 doi: 10.1038/s41586-019-1009-6
観測される銀河系の構造が、銀河系中心の数パーセクの領域からの物質とエネルギーのアウトフローによって、より大きい多様なスケールで形成されたことを示す証拠が、ここ数十年で増えている。15パーセクのスケールでは、銀河系中心はスペクトルのX線領域と電波領域の両方で確認できる双極性のローブを持ち、これは銀河面に垂直な方向を向いた幅広に収束した中心からのアウトフローの存在を示している。銀河系自体のサイズに近いより大きなスケールでは、γ線観測によっていわゆる「フェルミバブル」の特徴が明らかになっており、これは、銀河系中心にはかつて活発にエネルギーを放出した時期があり、こうしたエネルギー放出によって現在銀河面の両側にある巨大な空洞を占める相対論的な粒子が生成されたことを示唆している。ROSAT全天サーベイによるX線マップは、これらの空洞の銀河面に近い縁部がX線で明るいことを示している。中程度のスケール(約150パーセク)では、電波天文学者によって銀緯の正の領域にのみ存在する見かけのバブル構造の放射である、銀河系中心のローブが観測されているが、これも銀河中心付近からのエネルギー注入を示唆している。本論文では、こうした中程度のスケール(数百パーセク)において、銀河の中心領域とフェルミバブルを結び付けているように見える、銀河面上下の顕著なX線構造について報告する。銀河系中心の「チムニー」と我々が名付けたこれらの構造は、銀河系中心でのほぼ継続的な一連の一時的事象によって注入されるエネルギーと質量を、中心部の数パーセクの領域からフェルミバブルの基部へと通過させて輸送する排出経路になっていると、我々は提案する。

