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細胞生物学:STINGトラフィッキングを介したオートファジーの誘導はcGAS経路の始原的機能である

Nature 567, 7747 doi: 10.1038/s41586-019-1006-9

サイクリックGMP–AMP(cGAMP)シンターゼ(cGAS)は、細胞質中で微生物由来のDNAや自己DNAに結合することにより、感染や組織の損傷を検出する。cGASはDNAに結合するとcGAMPを作り出し、これがアダプタータンパク質STINGに結合して活性化する。活性化されたSTINGはキナーゼのIKKとTBK1を活性化し、インターフェロンなどのサイトカインを誘導する。今回我々は、STINGが、TBK1の活性化やインターフェロンの誘導とは別の機構を介してオートファジーモ活性化することを報告する。STINGはcGAMPに結合すると、小胞体–ゴルジ体中間区画(ERGIC)やゴルジ体へと移動し、この過程はCOP-II複合体とARF GTPアーゼに依存する。STINGを含んだERGICは、オートファゴソーム生合成のカギとなるLC3の脂質修飾の段階で、膜の供給源として働く。cGAMPによるLC3脂質修飾に関わる経路は、WIPI2とATG5に依存するが、ULKキナーゼ複合体やVPS34–ベクリンキナーゼ複合体には依存しない。さらに、cGAMPが誘導するオートファジーが、細胞質ゾル中のDNAとウイルスの除去に重要であることも示す。興味深いことに、イソギンチャクの一種であるネマトステラ(Nematostella vectensis)由来のSTINGは、cGAMPによる刺激に応じてオートファジーを誘導するが、インターフェロンを誘導しない。この結果は、オートファジーの誘導がcGAS–STING経路の始原的機能であることを示唆している。

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