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幹細胞:クローン性の根本的な切り替えから明らかになった骨端成長板の幹細胞ニッチ
Nature 567, 7747 doi: 10.1038/s41586-019-0989-6
小児における長軸方向の骨成長は、成長板によって維持されている。成長板は薄い円板状の軟骨で、軟骨内骨化のために軟骨細胞を持続的に供給している。しかし、こうした軟骨細胞の供給が、小児期の成長が終わるまでどのようにして維持されているのかは分かっていない。休止層にある軟骨前駆細胞は、長軸方向の成長のために細胞を供給するにつれ徐々に消費されると考えられているが、このモデルはまだ証明されていない。今回我々は、マウスで、多色レポーターと機能的摂動による遺伝的なクローン追跡を行い、胎仔期および新生仔期における長軸方向の成長では軟骨前駆細胞が激減するが、その後、二次骨化中心の形成と時を同じくして軟骨前駆細胞は自己複製能を獲得し、大きくて安定した単クローン性の軟骨カラム(軟骨細胞の長軸方向の列)を生じることを明らかにする。同時に、軟骨前駆細胞は幹細胞マーカーの発現と対称細胞分裂を開始する。自己複製を行う前駆細胞のプールの調節には、ヘッジホッグシグナル伝達経路とmTORC1(mammalian target of rapamycin complex 1)シグナル伝達経路が関与している。我々の知見は、骨端成長板では生後に幹細胞ニッチが形成され、これによって軟骨細胞の持続的な供給が長期にわたり維持されることを示している。

