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生理学:哺乳類の脂質代謝についての統合システム遺伝学的解析

Nature 567, 7747 doi: 10.1038/s41586-019-0984-y

脂質恒常性の調節異常は、肝臓脂肪症やメタボリックシンドロームの発症および進行の引き金となる事象である。これらの疾患は先進国では非常に一般的であるが、現在、診断および治療の介入の選択肢は限られている。今回我々は、プロテオーム規模およびリピドーム規模のシステム遺伝学的手法を用い、遺伝的に異なる107のマウス系統で脂質調節ネットワークを調べ、哺乳類の脂質代謝の制御およびネットワークの構造についての重要な手掛かりを得た。これらには、マウスおよびヒトの肝臓での脂質の病的な豊富さを予測する血漿脂質シグネチャーの特定が含まれていて、脂質関連タンパク質の細胞内局在や機能が明確に示され、脂質の豊富さを調節していると予測される機能タンパク質や遺伝的バリアントが明らかになった。こうしたデータセットを用いたトランスオミクス解析の助けにより、これまで知られていなかった脂質調節タンパク質としてPSMD9が特定・確認された。まとめると我々の研究は、哺乳類の脂質代謝を調べるための豊富な情報源となり、肝臓脂肪毒性における治療薬やバイオマーカーを発見する機会を提供する。

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