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微生物学:細菌のcGAS様酵素群は多様なヌクレオチドシグナル分子を合成する
Nature 567, 7747 doi: 10.1038/s41586-019-0953-5
サイクリックジヌクレオチド(CDN)は、ヌクレオチドセカンドメッセンジャーとして働くことで、細菌の恒常性や病原性に中心的な役割を担っている。細菌のCDNは、感染時に動物細胞でパターン認識受容体によって検出されると、免疫応答も誘導する。今回我々は、シグナル伝達を誘導する細菌ヌクレオチドの体系的な生化学的スクリーニングを行い、プリンとピリミジンの両ヌクレオチドを使ってさまざまなCDNを合成するcGAS/DncV様ヌクレオチジルトランスフェラーゼ(CD-NTアーゼ)という大きな酵素ファミリーを見いだした。一連の結晶構造解析により、CD-NTアーゼは構造的に保存されたファミリーであることが分かり、またプリンやピリミジン選択性を誘導する酵素活性部位の蓋状構造における重要な接触様式が明らかになった。CD-NTアーゼの産物には、CDNだけでなく、サイクリックトリヌクレオチド化合物という予想外のクラスも含まれていた。CD-NTアーゼシグナル伝達誘導性ヌクレオチドの生化学的および細胞解析によって、これらのサイクリックジヌクレオチドおよびサイクリックトリヌクレオチドが、異なる複数の宿主受容体を活性化することが示された。これらのヌクレオチドは病原菌と共生細菌相の両方について、それらの動植物宿主との相互作用を調節している可能性がある。

