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物性物理学:銅酸化物超伝導体における量子臨界の熱力学的特徴
Nature 567, 7747 doi: 10.1038/s41586-019-0932-x
銅酸化物超伝導体の3つの主要な現象は、共通のドーピングレベルp*によって結び付けられる。すなわち、p*において、不可解な擬ギャップ相が終わり、抵抗が温度に対して異常な線形依存性を示し、p*の周辺では、相図において超伝導相がドーム形領域を形成する。しかし、p*の基本的性質は、特にp*が真の量子相転移を示すのかどうかに関してまだよく分かっていない。今回我々は、超伝導を抑制するのに十分なほど大きな磁場中で、p*を含む広いドーピング範囲にわたり、銅酸化物Eu-LSCOとNd-LSCOの比熱Cを低温で測定した。その結果、ドーピングの関数として、Cel/T(CelはCに対する電子の寄与)がp*において強いピークを示すとともに、温度Tがゼロに近づくにつれてlog(1/T)依存性を示すことが見いだされた。これらは、重フェルミオン超伝導体や鉄系超伝導体でそれらの反強磁性相が終わる点において見られるような、量子臨界点の古典的な熱力学的特徴である。我々は、銅酸化物の擬ギャップ相は量子臨界点で終わり、その点に伴うゆらぎはおそらく、d波ペアリングや異常な電荷キャリア散乱に関与していると結論する。

