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物性物理学:WSe2/WS2ヘテロ構造超格子におけるモアレ励起子の観測
Nature 567, 7746 doi: 10.1038/s41586-019-0976-y
モアレ超格子は、原子レベルの薄層の間の相互作用によって超格子の電子バンド構造が定性的に変化する二次元ヘテロ構造において、新しい量子現象の創出を可能にする。例えば、さまざまなタイプのグラフェン/窒化ホウ素モアレ超格子において、ミニディラック点、調整可能なモット絶縁体状態、「ホフスタッターの蝶」パターンが現れる可能性があり、一方で、ねじれた2層グラフェンモアレ超格子においては、相関絶縁状態や超伝導が報告されている。モアレ超格子には、一粒子状態への顕著な影響に加えて、モアレ励起子バンドなどの励起状態が存在することが最近予測された。今回我々は、各層の向きがほぼそろった二セレン化タングステン/二硫化タングステン(WSe2/WS2)ヘテロ構造において、モアレ超格子励起子状態を観測したことを報告する。こうしたモアレ励起子状態は、吸収スペクトルにおいて元のWSe2 A励起子共鳴付近の複数の新しいピークとして現れ、WSe2単層やねじれ角が大きいWSe2/WS2ヘテロ構造のA励起子とは異なるゲート依存性を示す。これらの現象は、周期的なモアレポテンシャルが励起子の運動エネルギーよりもはるかに大きく、平坦な複数の励起子ミニバンドを生成するという理論モデルによって記述できる。今回のモアレ励起子バンドからは、遷移金属ジカルコゲニドにおけるトポロジカル励起子や相関励起子ハバードモデルなどの物質励起状態を探究し制御する魅力的なプラットフォームが得られる。

