物性物理学:MoSe2/WSe2ヘテロ2層のモアレに捕捉されたバレー励起子の特徴
Nature 567, 7746 doi: 10.1038/s41586-019-0957-1
結晶性固体におけるモアレパターンの形成は、そうした固体の電子特性の操作に使用でき、それらの電子特性は基本的に周期的なポテンシャルランドスケープの影響を受ける。二次元材料では、2枚の層状物質をねじって垂直に積層するか、格子定数が異なる2枚の層状物質を垂直に積層するかのいずれかまたは両方によって、超格子ポテンシャルを伴うモアレパターンを形成できる。この方法によって、分数量子ホール効果、調整可能なモット絶縁体、非従来型の超伝導などの電子現象が生み出されている。加えて、二次元バレー半導体のモアレポテンシャルが光励起に著しい影響を及ぼす可能性があることが、理論的に予測されているが、こうした特徴は実験的には検出されていない。本論文では、二セレン化モリブデン(MoSe2)/二セレン化タングステン(WSe2)ヘテロ2層のモアレポテンシャルに捕捉された層間バレー励起子の存在を示す実験的証拠を報告する。低温では、自由な層間励起子のエネルギーの近くにフォトルミッネセンスが観測されたが、線幅は100倍以上も狭かった(約100 μeV)。このエミッターのg因子は、同一試料では試料全体で均一で、たった2つの値しかとらず、ねじれ角が約60°の試料では−15.9、約0°の試料では6.7であった。これらのg因子は、バレーペアリングの2つの可能な配置の1つで決まる自由な層間励起子のものと一致する。こうしたエミッターは、ねじれ角約20°では2桁暗くなるが、g因子は、ねじれ角が約60°のヘテロ2層と同じであった。これは、整合した21.8°のねじれ角の近くでの層間励起子のウムクラップ再結合と一致する。エミッターは、与えられたねじれ角と同じヘリシティーの強い円偏光を示すことから、捕捉ポテンシャルは3回回転対称性を保っていることが示唆される。こうした結果は、光強度と励起エネルギーに対する特徴的な依存性と共に、観測された効果の起源が、バレーの対照的な物理を受け継いだ滑らかなモアレポテンシャルに捕捉された層間励起子であることを示唆している。今回の研究は、ねじれ角の変化を通して二次元モアレ光学を制御する機会を提示している。

