Volume 566 Number 7744

Editorials

公衆衛生を世界規模で改善するには各国が主導となった研究が重要で、諸外国の機関はそれが成し遂げられるよう支援すべきだ。

A new model for disease research in Africa p.295

doi: 10.1038/d41586-019-00612-0

科学の発展には、小さな研究チーム、大きな研究チーム、どちらも欠かせない。

Embrace teams large and small to foster the health of research p.295

doi: 10.1038/d41586-019-00558-3

News

麻薬カルテルがらみの凶悪犯罪の増加が、メキシコの科学研究の大きな妨げに。

Violent drug cartels stifle Mexican science p.303

doi: 10.1038/d41586-019-00458-6

南極のラーセンC棚氷の分離で露出した海底・海中の生態系を探査しようと、ドイツなどの研究チームが続々と。

Antarctic voyage will explore ocean hidden under ice for 100,000 years p.304

doi: 10.1038/d41586-019-00588-x

LIGO(レーザー干渉計重力波天文台)が、検出感度を2倍に高める大規模な改修へ。

Gravitational-wave observatory LIGO set to double its detecting power p.305

doi: 10.1038/d41586-019-00573-4

ハンガリー科学アカデミーの独立性を脅かし続ける政権に対し、科学者たちから強い反発が。

Hungary’s scientists outraged by government budget grab p.306

doi: 10.1038/d41586-019-00586-z

有力誌に論文を発表した大学院生に対して報奨金を出すというインド政府案に、不正行為を助長しかねないと科学界から異議が。

Indian payment-for-papers proposal rattles scientists p.307

doi: 10.1038/d41586-019-00514-1

成層圏で運用される高高度疑似衛星(HAPS)は、大気科学を大きく様変わりさせると期待が。

High-flying pseudosatellites get their day in the sun p.308

doi: 10.1038/d41586-019-00561-8

News Features

公衆衛生:流行病から国を守る

This Nigerian doctor might just prevent the next deadly pandemic p.310

ナイジェリア初の公衆衛生機関の所長に就任したChikwe Ihekweazuは、次の致命的パンデミックを防ぐべく、何もないところから自国の公衆衛生システムを築き上げようとしている。

doi: 10.1038/d41586-019-00615-x

News & Views

惑星科学:海王星の新たな衛星

A new moon for Neptune p.328

今回観測された海王星の衛星ヒッポカンプは、海王星の他の内衛星と比べて、位置が独特で、サイズが小さい。これは、海王星から10万km以内の領域における激動の歴史を示唆している。

doi: 10.1038/d41586-019-00576-1

代謝:断続的な睡眠が血管を傷つける仕組み

How broken sleep promotes cardiovascular disease p.329

睡眠と心血管疾患の関係はよく分かっていない。今回マウスで得られた知見は、断続的な睡眠によって脳は骨髄に白血球の産生を増大させるシグナルを送るようになり、これが血管を傷つけることを示している。

doi: 10.1038/d41586-019-00393-6

引用数指標:小さなチームの科学は美しい

Small research teams ‘disrupt’ science more radically than large ones p.330

今回、新しい引用数指標を適用して、研究チームの規模と研究のインパクトの関係が再評価され、「大きなチーム」の科学を重視する傾向に疑問が投げ掛けられた。

doi: 10.1038/d41586-019-00350-3

核物理学:原子核における中性子と陽子の変化の起源

Why neutrons and protons are modified inside nuclei p.332

原子核内に束縛されていると、中性子や陽子の構造が修正される。今回、実験データによって、この現象の説明が示唆された。これは、核物理学に幅広い影響を及ぼす可能性がある。

doi: 10.1038/d41586-019-00577-0

がん:腫瘍が脂質を作るために使う別の代謝経路

Tumours use a metabolic twist to make lipids p.333

がん細胞が生き残り分裂するには、一価不飽和脂肪酸と呼ばれる脂質分子が絶えず供給される必要がある。腫瘍はこれを、毛包でも使われている代謝経路を利用する予想外の方法で実現していることが、今回分かった。

doi: 10.1038/d41586-019-00352-1

神経科学:怖がらないことを学ぶ脳

Biological clues to an enigmatic treatment for traumatic stress p.335

「眼球運動による脱感作と再処理」と呼ばれる治療法は、心的外傷後ストレス障害を軽減するが、その機構はよく分かっていなかった。今回マウスの研究で、この方法の生物学的基盤の有力な手掛かりが得られた。

doi: 10.1038/d41586-019-00294-8

医学研究:浸潤前のがんのプログレッションを予測する

Genetic clues can be used to predict whether early-stage cancer will form an invasive tumour p.336

早期のがん性増殖は、顕微鏡下ではどれも同じように見えるが、浸潤性腫瘍を形成するかどうか予測するのは難しい。今回ヒト肺におけるこうした増殖のゲノムプロファイルによって、そうした予測が可能なことが明らかになった。

doi: 10.1038/d41586-019-00567-2

Articles

神経科学:恐怖障害の精神療法の基盤となる神経回路

Neural circuits underlying a psychotherapeutic regimen for fear disorders p.339

doi: 10.1038/s41586-019-0931-y

免疫学:PU.1が繊維芽細胞の二極化と組織の繊維化を制御する

PU.1 controls fibroblast polarization and tissue fibrosis p.344

doi: 10.1038/s41586-019-0896-x

Letters

核物理学:対相関する陽子と中性子の修正された構造

Modified structure of protons and neutrons in correlated pairs p.354

doi: 10.1038/s41586-019-0925-9

量子物理学:原子アレイの、導波路と結合した単一集団励起

Waveguide-coupled single collective excitation of atomic arrays p.359

doi: 10.1038/s41586-019-0902-3

物性物理学:量子ホールバレー系における相互作用する多チャネルトポロジカル境界モード

Interacting multi-channel topological boundary modes in a quantum Hall valley system p.363

doi: 10.1038/s41586-019-0913-0

ナノスケールデバイス:二次元MoS2によって可能になったWi-Fi帯域ワイヤレスエネルギーハーベスティング用のフレキシブルレクテナ

Two-dimensional MoS2-enabled flexible rectenna for Wi-Fi-band wireless energy harvesting p.368

doi: 10.1038/s41586-019-0892-1

気候科学:極端な降雨のテレコネクションの全球パターンを明らかにする複雑ネットワーク

Complex networks reveal global pattern of extreme-rainfall teleconnections p.373

doi: 10.1038/s41586-018-0872-x

引用数指標:科学技術は大きなチームにより発展し、小さなチームにより破壊される

Large teams develop and small teams disrupt science and technology p.378

doi: 10.1038/s41586-019-0941-9

代謝:睡眠は造血を調節してアテローム性動脈硬化症を予防する

Sleep modulates haematopoiesis and protects against atherosclerosis p.383

doi: 10.1038/s41586-019-0948-2

神経免疫学:マウスとヒトのミクログリアの単一細胞分解能での空間的・時間的な不均一性

Spatial and temporal heterogeneity of mouse and human microglia at single-cell resolution p.388

doi: 10.1038/s41586-019-0924-x

免疫学:ヒトのベースラインの抗体レパートリーには著しい多様性があるにもかかわらず共通性が見られる

Commonality despite exceptional diversity in the baseline human antibody repertoire p.393

doi: 10.1038/s41586-019-0879-y

免疫学:ヒトB細胞受容体レパートリーにおいて高頻度で共通したクロノタイプ

High frequency of shared clonotypes in human B cell receptor repertoires p.398

doi: 10.1038/s41586-019-0934-8

がん:もう1つの脂肪酸不飽和化経路が、がんの可塑性を高めていることの証拠

Evidence for an alternative fatty acid desaturation pathway increasing cancer plasticity p.403

doi: 10.1038/s41586-019-0904-1

生物物理学:ダイニンの方向性はストークの角度と長さによって制御される

Directionality of dynein is controlled by the angle and length of its stalk p.407

doi: 10.1038/s41586-019-0914-z

構造生物学:酸素発生型光合成での複合体I様分子NDHの構造

Structure of the complex I-like molecule NDH of oxygenic photosynthesis p.411

doi: 10.1038/s41586-019-0921-0

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