物性物理学:ワイル半金属における超高速対称性スイッチング
Nature 565, 7737 doi: 10.1038/s41586-018-0809-4
トポロジカル量子物質は魅力的な特性を示し、無散逸電子デバイスやフォールトトレラントな量子コンピューターへの重要な応用が考えられる。こうした物質におけるトポロジカル不変量の操作によって、トランジスターのスイッチングに似たトポロジカルスイッチング応用の開発が可能になると思われる。格子ひずみは、電子とイオンの相互作用を直接変化させ、トポロジカル特性を左右する根底にある結晶対称性を変える可能性があるため、トポロジカル不変量を調節する最も自然な手段となる。しかし、ヘテロエピタキシャル格子不整合や転位を通してひずみを印加する従来の手段は、トランジスターに必要な、時間的に変化する制御可能なプロトコルに拡張できない。機能デバイスへの集積化には、トポロジカルに保護されたロバストな物質特性を越えて、トポロジーを高速に操作できることが要求される。今回我々は、テラヘルツ光パルスを用いてワイル半金属WTe2にひずみ振幅が大きいテラヘルツ周波数の層間せん断ひずみを誘起でき、これによって、トポロジーの異なる準安定相が生じることを、相対論的電子線回折による結晶構造測定を用いて実証する。これとは別の非線形光学測定によって、この転移には、トポロジー的に自明な中心対称性の相への対称性変化を伴うことが示された。さらに我々は、そうしたせん断ひずみが、十分分離したロバストなワイル点を誘起したり、逆のカイラリティーの全ワイル点を消滅させたりする、超高速かつエネルギー効率の良い手段となることを示す。今回の研究結果は、固体のトポロジカル特性を超高速で操作できるようになる可能性や、テラヘルツ周波数で動作するトポロジカルスイッチングが開発される可能性を示している。

