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免疫学:代謝不均一性がTH17細胞の幹細胞性と可塑性という相反する運命の根底にある

Nature 565, 7737 doi: 10.1038/s41586-018-0806-7

適応免疫を決定付ける特徴は、長期間生存し感染を抑制する記憶T細胞の発達である。最近の研究から、慢性感染では疲弊したCD8陽性T細胞の中に独特の幹細胞様T細胞サブセットが存在することが明らかになっているが、慢性の炎症性疾患において同様の特徴を持つCD4陽性T細胞サブセットが存在するかどうかは明らかになっていない。ヘルパーT細胞の中では、TH17細胞が自己免疫や組織炎症に顕著な役割を担っており、固有の可塑性により特徴付けられるが、そのような可塑性が調節される仕組みはほとんど分かっていない。今回我々は、自己免疫疾患のマウスモデルにおいて、TH17細胞が機能的および代謝的に不均一であること、つまり、TH17細胞には、同化性代謝が低いが幹細胞性に関連する特徴を持つサブセットと、相反するサブセット(代謝活性が高く、TH1様細胞への分化転換を支える)が含まれることを実証する。これら2つのTH17細胞サブセットは、それぞれが転写因子のTCF-1とT-betを選択的に発現していることや、CD27発現レベルの差異によって規定される。また、キナーゼ複合体mTORC1を介したシグナル伝達がTH17細胞の運命決定の中心的な調節因子であり、代謝と転写のプログラムを調整していることも明らかになった。mTORC1シグナル伝達や同化性代謝が障害されたTH17細胞は、自己免疫性の神経炎症を誘導できない、つまりTH1様細胞へと発達できないが、代わりにTCF-1の発現が上昇しており、幹細胞性に関連する特徴を獲得していた。単一細胞RNA塩基配列解読や実験的検証から、運命マッピングされたTH17細胞には不均一性があることが明らかになり、mTORC1活性の喪失や代謝の撹乱により、TH1への分化転換軌跡で発達が停止することが分かった。我々の結果は、幹細胞性とエフェクター機能の二分性がTH17応答の不均一性や自己免疫疾患の発症の根底にあることを明らかにし、また、これまで正しく評価されていなかったヘルパーT細胞における可塑性の代謝制御を示している。

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