神経科学:持続的な疼痛に関連した対処行動に必要な経路の特定
Nature 565, 7737 doi: 10.1038/s41586-018-0793-8
動物やヒトは、侵害刺激に対して2種類の応答を示す。1つ目の応答には、損傷を防いだり制限したりする反射的な防御応答が含まれ、よく知られた例は、熱いものに触れたときに即座に手を引っ込め応答である。この最初の応答で組織の損傷が防げなかった(例えば、指に火傷を負った場合)ときには、その結果生じた痛みによって、損傷部位をなめて疼痛を緩和させるなどといった、それに続く対処応答が起こる。しかし、このような連続する2つの行動を駆動する基本的な神経回路についてはほとんど分かっていない。今回我々は、マウスにおいて、TAC1CreとLBX1Flpoの共発現により標識される脊髄ニューロンが、疼痛に関連する対処応答を駆動することを示す。これらの脊髄ニューロンを除去すると、持続的になめる行動も、皮膚をつねる行動や火傷などの刺激(ヒトでは持続的疼痛を生じる刺激)により惹起される条件付けされた忌避も起こらなくなったが、我々が調べた反射的防御のいずれにも影響は見られなかった。この持続的疼痛に対する選択的な無関心、内側視床核を損傷したヒトで見られる表現型に類似している。それと一致して、脊髄のTAC1系譜ニューロンは、直接の投射と、上外側傍小脳脚核を介した間接的な経路を介して内側視床核へ接続している。さらに、脊髄レベルで観察された解剖学的および機能的分離は、一次感覚ニューロンにも当てはまる。例えば、機械的侵害刺激への応答では、MRGPRD陽性およびTRPV1陽性侵害受容器が、それぞれ反射的応答と対処応答を引き起こすために必要とされる。従って我々の研究は、皮膚の体性感覚系内での基礎的な下位区分を明らかにするとともに、持続的疼痛を測定するために反射的防御反応を用いることの妥当性に疑問を投げ掛けている。

