Letter

量子物理学:ハバード鎖における非整合磁性の直接観測

Nature 565, 7737 doi: 10.1038/s41586-018-0778-7

磁性とドーピングの相互作用は、エキゾチックな強相関電子相の原点にあり、新しい形の磁気秩序化につながる可能性がある。1つの例が、波数ベクトルが逆格子に属さない非整合スピン密度波の出現である。一次元では、この効果はラッティンジャー液体論の特徴であり、この理論はハバードモデルの低エネルギー物理も記述する。今回我々は、光格子中の極低温フェルミオンを使う量子シミュレーターを用いて、ドープされスピン不均衡になったハバード鎖におけるそうした非整合スピン相関を、量子気体顕微鏡でスピンと密度を完全に分解して直接観察した。その結果、ドープすると、スピン密度波数ベクトルの線形変化が誘起されることが分かり、これは、ラッティンジャー理論の予測と極めてよく一致している。非ゼロの分極では、磁場中の反強磁性ハイゼンベルグモデルから予測されるように、磁化によって波数ベクトルが小さくなるのが観測された。我々は、こうした非整合相関の微視的スケールの起源が、正孔、ダブロン(二重占有)、過剰スピンであることを見いだした。これらは、反強磁性秩序の非局在化した磁壁となる。さらに、鎖間結合を誘起すると、ダブロンの周囲に基本的に異なるスピン相関が観測されるとともに、二次元領域に有限温度(低温)での非整合磁性の抑制が観測された。今回の結果は、強相関多体物理における基本現象の研究に、あらゆる局所自由度の完全計数統計を用いる方法を実証している。

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