物性物理学:極めて薄いNa3Biにおけるトポロジカル相転移の電場による制御
Nature 564, 7736 doi: 10.1038/s41586-018-0788-5
トポロジカル絶縁体から従来型絶縁体への電場に誘起される量子相転移は、トポロジカル電界効果トランジスターの基盤として提案されてきた。この方式では、「オン」状態は、二次元量子スピンホール絶縁体の無散逸エッジに沿った電荷とスピンのバリスティックな流れであり、「オフ」状態は、電場を印加してこのエキゾチック絶縁体を伝導チャネルのない従来型絶縁体に変換することによって生じる。そうしたトポロジカルトランジスターは低エネルギー論理回路向けに有望であり、そうしたトランジスターには、従来型バンドギャップとトポロジカルバンドギャップが、室温で熱エネルギーよりもはるかに大きな(これまで提示されたものよりかなり大きい)電場でスイッチングできる材料が必要である。トポロジカルディラック半金属は、従来相とトポロジカル相の境界にあるため、トポロジカル電界効果スイッチングを探るのに有望な系である。今回我々は、走査トンネル顕微・分光法と角度分解光電子分光法を用いて、トポロジカルディラック半金属Na3Biの単層膜と二層膜が、電場非印加時に量子閉じ込めによってバルクバンドギャップが300 meVを超える二次元トポロジカル絶縁体であることを示す。カリウムをドープしたり、走査トンネル顕微鏡のティップを近づけたりすることによって電場を印加すると、シュタルク効果によってバンドギャップが完全に閉じ、90 meVの従来型ギャップとして再度開いた。従来型の相や量子スピンホール相はいずれもバンドギャップが大きく、室温での熱エネルギー(25 meV)よりもはるかに大きいことから、極めて薄いNa3Biが室温トポロジカルトランジスター動作に適していることが示唆される。

