固体地球科学:地球の地殻のマグマの化学的分化、低温貯蔵および再流動化
Nature 564, 7736 doi: 10.1038/s41586-018-0746-2
地球の地殻のマグマの形成、貯蔵、化学的分化は、火成地質学と火山学において根本的に重要である。最近得られたデータは、1世紀以上にわたって地殻の火成活動のモデルを支えてきた、メルトの割合が高い「マグマだまり」のパラダイムに疑問を投げ掛けており、マグマは通常、メルトの割合が低い「粥状貯蔵庫」に保存されていることが示唆されている。粥状貯蔵庫は、密に充填された結晶でできた空隙が多く透過性の高い骨格からなり、空隙にメルトが存在する。しかし、地殻の火成活動に共通に見られる多くの特徴は、「マグマだまり」の考え方でも「粥状貯蔵庫」の考え方でもまだ説明されていない。本論文では、浮力によって結晶を通って上方へ浸透するとともに結晶と反応するメルトに起因する反応性のメルトの流れが、地殻の粥状貯蔵庫における重要だがこれまで無視されてきた過程であることを示す。粥状貯蔵庫内の反応性メルトの流れによって、結晶性が低く化学的に分化した(珪質)マグマが生成され、このマグマが上昇して、浅部の貫入岩体を形成したり地表に噴出したりする。こうしたマグマは、低い温度で、固相線温度以下であってもより年代の古い結晶を貯蔵でき、これは結晶の化学的データと一致する。温度の大幅な上昇ではなく、反応性メルトの流れに起因する局所的なバルク組成の変化によって、メルトの割合が急速に増加し、こうした低温で貯蔵された結晶が再流動化する。反応性の流れはさらに、中部地殻から下部地殻にかけて貯蔵庫から生成されるマグマ組成に双峰性を生み出すことができる。反応性の流れによって生じる微量元素プロファイルは、現在地表に露出していてよく調べられている貯蔵庫と類似している。我々は、マグマの貯蔵と分化は主に、通常考えられているマグマだまり内での分別結晶化過程ではなく、寿命の長い粥状貯蔵庫内の反応性メルトの流れによって生じていると提案する。

