進化学:ヘミマスティゴフォラは界を超えたレベルの真核生物の新系統である
Nature 564, 7736 doi: 10.1038/s41586-018-0708-8
現在、真核生物のほぼ全ての生命体は、分子系統学によって界を超えたレベル(supra-kingdom-level)の5~8の系統群のいずれかに分類されている。ヘミマスティゴフォラ「門」は、そうした系統発生学的な割り当てがまだなされていない生物の中で、おそらく最も特徴的な、形態が明らかにされている系統と考えられる。hemimastigote類は、19世紀に初めて確認された自由生活性の捕食性原生生物で、2列に並んだ鞭毛と独特の細胞構造を有する。この系統群については、我々の知る限り、利用可能な分子の塩基配列データや培養は存在しない。本論文では、高カバー率の培養非依存的トランスクリプトミクスに基づく系統ゲノミクス解析によって、ヘミマスティゴフォラが、真核生物の確立されている全ての巨大系統群(スーパーグループ)の外に位置付けられることを示す。ヘミマスティゴフォラはむしろ、界を超えたレベルの独立系統を構成し、この系統は真核生物の多様性の半分を占める「ディアフォレティケス」に対して姉妹クレードを形成する可能性が高い。ディアフォレティケスには、「ストラメノパイル、アルベオラータ、リザリア」からなる巨大系統群(Sar)、アーケプラスチダ(古色素体類)、クリプチスタ、そしてそれ以外の主要な系統群が含まれる。ヘミマスティゴフォラを門とする従来の階級付けはこの系統群の進化的な特殊性を軽視するものであり、この系統群は実のところ、基本的な細胞系の起源の理解から系統樹の根の位置付けに至るまで、真核生物の進化史を深く掘り下げて研究する上で極めて重要である。我々はまた、hemimastigote類の新種であるHemimastix kukwesjijkの初めての培養も確立した。こうした培養は、真核生物の進化および真核生物の最終共通祖先に関する今後のゲノム研究や細胞生物学研究を促進すると考えられる。

