発生生物学:CDK12はイントロンポリアデニル化の抑制によりDNA修復遺伝子を調節する
Nature 564, 7734 doi: 10.1038/s41586-018-0758-y
相同組換え(HR)を介した修復を低下させる変異は、腫瘍発生を促進し、細胞を複製フォークの崩壊を引き起こす化学療法に対して感受性にする。この表現型は「BRCAness」として知られている。BRCAness腫瘍は、22種類の遺伝子での機能喪失変異から生じる。これらの遺伝子は、CDK12以外の全てがHR修復経路で直接的に機能する。CDK12は、RNAポリメラーゼIIのC末端ドメインに含まれるヘプタペプチド反復配列中の2番目のセリンをリン酸化し、この修飾は、転写伸長、スプライシング、開裂、ポリアデニル化を調節する。ゲノム規模発現解析から、CDK12レベルの大幅な低下は複数のHR遺伝子の発現を比較的特異的に停止させることが示唆されており、それによってHR修復が鈍化する。この観察結果から、CDK12の変異状態は、PARP1阻害剤のようなBRCAnessを標的とする治療への感受性を予測する可能性や、CDK12阻害剤がHR能を持つ腫瘍のこれらの治療に対する感受性を誘導する可能性が考えられる。臨床応用への関心の高まりにもかかわらず、CDK12がHR遺伝子を調節する機構は、まだ明らかになっていない。今回我々は、マウス胚性幹細胞ではCDK12がイントロンポリアデニル化事象を広範囲に抑制しており、それによって完全長遺伝子産物の産生を可能にしていることを示す。多くのHR遺伝子に含まれるイントロンポリアデニル化部位の数は、発現している他の遺伝子のものよりも多く、これらの部位はCDK12喪失に対する感受性が特に高い。これらの部位の累積的影響は、HR遺伝子発現のCDK12喪失に対する感受性が高まることの説明となる。また、この機構はCDK12の機能喪失型変異を持つヒトの腫瘍で保存されていることが分かった。本研究はCDK12の機能を明らかにするとともに、CDK12が化学療法の標的にも腫瘍バイオマーカーにもなる可能性を明確に示している。

