Letter

環境科学:明らかになった産業および農業におけるアンモニアの点源

Nature 564, 7734 doi: 10.1038/s41586-018-0747-1

大気中のアンモニアは、粒子状物質の形成における重要な役割を通して、大気質に影響を及ぼすとともに、ヒトの健康や平均余命に影響を与える。環境中の過剰なアンモニアはまた、生態系の酸性化や富栄養化、そして気候変動にも寄与している。アンモニアの人為的な排出は、自然の排出を上回っており、その大半が、農業活動、家庭活動、産業活動に起因する。しかし、アンモニアの全収支やアンモニア排出と特定の源との関連付けは、さまざまな空間スケールにわたってまだほとんど明確になっていない。今回我々は、IASI(赤外線大気探測干渉計)による約10年にわたる日々の衛星観測から得られた、大気中アンモニアの高分解能マップを用いて、世界のアンモニア排出のホットスポットを特定して分類し、定量化した。直径が50 km未満のホットスポットが248か所特定され、これらは自然源に由来すると思われる1か所を除いて、単一の点源か農業や産業の点源のクラスターと関連付けられた。最新のEDGARの排出インベントリーは、広い領域については、衛星観測から得られた排出フラックスと3倍以内でほぼ一致する。しかしこのインベントリーは、今回我々が特定した点源の大半を十分に表現しておらず、その3分の2の排出量を少なくとも1桁過小評価している。特に産業排出源の多くは、位置が違っているか記載されていないことが分かった。今回の結果は、人為的なアンモニア排出源のインベントリーを徹底的に再検討し、そうした源の急速な時間変化を考慮する必要があることを示唆している。これによって、大気中アンモニアの健康や環境への影響をよりよく評価し、適切な窒素の管理戦略を実行できるようになるだろう。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度