原子物理学:センチメートルレベルより高い精度の測地を可能にする原子時計の性能
Nature 564, 7734 doi: 10.1038/s41586-018-0738-2
時間の経過は、地球の公転や振り子の揺れなどの周波数基準の振動の数を数えることで追跡される。原子遷移を基準にすると、周波数(従って時間)は他のどのような物理量よりも正確に測定でき、現行世代の光原子時計では、10−17レベルを超える分数精度の性能が報告されている。しかし、相対性理論は、時間の経過は絶対的ではなく、観察者の基準座標系の影響を受けると定めている。そのため、時計の測定には、相対速度、加速度、重力ポテンシャルに対して感度がある。今回我々は、地球表面全域の重力による時空のゆがみを説明する現行の能力を上回る、局所的な光時計の測定を実証する。独立した2つのイッテルビウム光格子時計で、時計性能を表す3つの基本ベンチマークについてこれまでにない値が実証された。我々は、時計周波数を単位として、系統的不確かさが1.4 × 10−18、測定不安定性が3.2 × 10−19であり、再現性を10回の周波数比ブラインド測定で評価して、[−7 ± (5)stat ± (8)sys] × 10−19(「stat」は統計的不確かさを、「sys」は系統的不確かさを表す)という周波数差が得られたことを報告する。重力ポテンシャルの差に対する感度は、地球の時間標準としての時計の性能を低下させる可能性があるが、この同じ感度はまた、ジオポテンシャルの極めて敏感なプローブとしても使用できる。地表面近傍では、1 × 10−18レベルでの時計の比較から、重力方向に沿って1 cmの分解能が得られるので、こうした時計の性能によって最新のレベルを超える測地が可能になるはずである。こうした光時計はさらに、地球物理学的現象の探求、重力波の検出、一般相対性理論の検証、暗黒物質の探索に使える可能性がある。

