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神経科学:海馬は、睡眠中の海馬非依存的な長期記憶の形成に必須である

Nature 564, 7734 doi: 10.1038/s41586-018-0716-8

記憶の研究では、海馬に依存する記憶と依存しない記憶とが長年にわたり区別されてきており、これは、海馬が正常に機能しない場合に獲得や想起が可能なのは、海馬非依存的な記憶のみであることによっている。海馬依存的な記憶の固定は特に、睡眠によって強く支えられている。今回我々は、海馬非依存的記憶のラットモデルにおける長期的表現の形成が、睡眠だけでなく、睡眠中の海馬依存的な機構の活性化にも依存していることを示す。ラットに、2時間の睡眠期もしくは覚醒期の前に海馬非依存的な(新規物体認識)記憶と海馬依存的な(物体位置認識)記憶を符号化させ、その直後に近時記憶を、長時間経過後(1週間後または3週間後)に遠隔記憶をそれぞれテストした。その結果、物体位置認識では、近時記憶テストと遠隔記憶テストの両方において、符号化後に眠ったラットの方が符号化後に覚醒していたラットよりも記憶が強かったのに対し、新規物体認識では、睡眠による恩恵は符号化3週間後のテストでのみ認められ、この時点では符号化後に眠ったラットでは記憶が保持されていたが、覚醒していたラットでは記憶は保持されていなかった。注目すべきことに、符号化後の睡眠中に海馬内にムシモルを投与して海馬を不活性化すると、睡眠に誘導される新規物体認識の遠隔記憶の増強は消失した。これに対し、遠隔記憶の想起または記憶の符号化の前にムシモルを投与してもテストの成績に全く影響はなく、これによって、新規物体認識での記憶の符号化と想起が海馬非依存的なものであることが裏付けられた。新規物体認識の遠隔記憶は、符号化後の徐波睡眠中の紡錘波活動と関連しており、これは、徐波睡眠中のニューロン活動による記憶再生が長期記憶の形成に寄与しているとする見解と一致する。今回の結果は、これまで海馬に依存しないと考えられてきた記憶においても、睡眠による長期記憶への固定に海馬が重要な役割を担っていることを示すものである。

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