幹細胞:成長板軟骨の休止層には独特な性質を持つ骨格幹細胞が存在する
Nature 563, 7730 doi: 10.1038/s41586-018-0662-5
骨格幹細胞は、軟骨細胞、骨芽細胞、骨髄間質細胞などの多様な細胞を作り出すことで、骨の成長や恒常性を調節している。成長板は、骨の長軸方向への成長を担う特殊な軟骨組織であり、この成長板に密接に関連した骨格幹細胞が存在するという概念が提唱されている。成長板軟骨の休止層は、副甲状腺ホルモン関連タンパク質(PTHrP)を発現することで成長板を維持するのみならず[PTHrPは肥大層から放出されるインディアンヘッジホッグ(Ihh)と相互に影響を及ぼし合う]、他の軟骨細胞の供給源となると考えられている。しかし、骨格幹細胞の正体、およびそれらの細胞が成長板において維持される仕組みは明らかにされていない。今回我々は、マウスモデルにおいて、出生後の成長板休止層内のPTHrP陽性軟骨細胞の中に骨格幹細胞が形成されることを示す。PTHrP陽性軟骨細胞は骨格系の幹細胞や前駆細胞の一連のマーカーを発現し、培養条件下で骨格幹細胞としての性質を保持していた。さらに細胞系譜解析の結果、休止層のPTHrP陽性軟骨細胞は長期にわたり、増殖層において円柱状の軟骨細胞を形成し続けることが明らかになった。これらの軟骨細胞は肥大化し、成長板の直下において骨芽細胞や骨髄間質細胞へと転化した。増殖層の軟骨細胞は、休止層軟骨細胞からのフォワードシグナル(PTHrP)と肥大層軟骨細胞からのリバースシグナル(Ihh)によって協調的に維持されており、休止層のPTHrP陽性軟骨細胞の細胞運命を維持する教示的な合図を供給していた。我々の知見から、当初の増殖期においては単能性で、細胞分裂停止後の段階において初めて多能性を獲得する独特な性質を持つ体性幹細胞の1つのタイプが明らかになり、骨格系細胞の可塑的な性質が示された。この系は、機能的に特化した幹細胞とそのニッチが出生後に形成され、それが厳密なフィードバック調節系により組織成長の全期にわたって維持されるモデルを示唆する。

