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核物理学:中性子過剰核における高運動量の陽子と中性子の探査

Nature 560, 7720 doi: 10.1038/s41586-018-0400-z

原子核は、自然界で最も密度が高く最も複雑な量子力学系の1つである。原子核は、観測可能な宇宙の質量のほぼ全てを占めている。原子核の個々の核子(陽子と中性子)の特性は、原子核から高エネルギー粒子を散乱させて散乱後にその粒子を検出することによって、また多くの場合たたき出されたもう1つの陽子を検出することによっても探ることができる。電子散乱実験や陽子散乱実験の結果の解析によって、原子核中の核子の一部は、原子核のフェルミ運動量よりも核子の運動量が大きい、ごく接近した中性子–陽子対を形成していることが示唆されている。しかし、中性子過剰核の過剰な中性子が、どのようにそうした近接対を形成するのかは、まだ分かっていない。今回我々は、中重・重原子核から高エネルギー電子によってたたき出された陽子と中性子を測定し(中性子の測定は今回が初めてである)、原子核の中性子が過剰になるにつれ高運動量陽子の割合が著しく増加する一方で、高運動量中性子の割合はわずかに減少することを示す。古典的な原子核殻模型では、陽子と中性子はフェルミ統計に従ってほとんど相関せず、大半が独立したエネルギー殻を占めているため、この効果は意外である。中性子過剰核におけるこうした高運動量核子は、原子核パートン分布関数(核子の構成成分の部分的な運動量分布)や、原子核に束縛された核子のクォーク分布の変化(EMC効果)を理解する上で重要である。また、ニュートリノ振動測定の解釈や中性子星などの中性子過剰系の理解にも関係してくる。

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