構造生物学:ヘテロ三量体Goと共役したセロトニン5HT1B受容体のクライオ電子顕微鏡構造
Nature 558, 7711 doi: 10.1038/s41586-018-0241-9
Gタンパク質共役受容体(GPCR)は、ヒトゲノムにコードされている受容体からなるファミリーの中で最大のもの(約800個の遺伝子を含む)を形成している。GPCRは、小数のヘテロ三量体Gタンパク質(さまざまなαサブユニットをコードする遺伝子は16個)と共役してシグナル伝達を行っている。個々のヒト細胞は、複数のGPCRとGタンパク質を含んでいる。Gsが4種類のGPCRへ共役する際の構造的決定因子は解明されているが、他の種類のGタンパク質がGPCRと共役する仕組みについての分子レベルでの詳細は分かっていない。今回我々は、セロトニン5HT1B受容体(5-HT1BR)について、アゴニストのドニトリプタンと結合し、改変型Goヘテロ三量体と共役している状態のクライオ(極低温)電子顕微鏡構造を示す。この複合体では、5-HT1BRは活性型で、受容体の細胞内ドメインは、Gsと複合体を形成したβ2アドレナリン受容体(β2AR)、あるいは同じくGsと複合体を形成したアデノシンA2A受容体(A2AR)で観察されるのと同様のコンホメーションにある。Gsとの複合体とは対照的に、Go–5-HT1BR複合体では受容体とGβサブユニットとの間に隙間ができて分子間の接触が妨げられており、GoのGαサブユニットと受容体の間の接触面はかなり小さくなっている。このような相異は、GoのGαサブユニットのC末端との相互作用の違いにより引き起こされた可能性が高い。Go、あるいはGsがGPCRと形成した複合体で、接触面の広さがGタンパク質分子の種類によって変わることは、共役の特異性とシグナル伝達の速度論的性質の両方に大きく関わっている可能性がある。

