Letter

化学:超分子構造の制御に利用される油中水のエンタルピー的なポテンシャルエネルギー

Nature 558, 7708 doi: 10.1038/s41586-018-0169-0

水は天然分子と合成分子の両方の自己集合を誘導し、精密だが動的な構造体を形成させる。しかし、そうした系における水の役割の分子的理解は十分でなく、このことが生体材料、ナノエレクトロニクス、触媒反応で用いる超分子材料の開発における基本的な制約となっている。特に、超分子化学では溶媒としてアルカンが広く用いられているが、こうした溶媒に水がわずかしか混和しないためか(一般的なアルカンには室温で0.01重量パーセント未満の水しか含まれていない)、油中での凝集体の形成における水の役割は明らかになっていない。この水に関する注目すべきだが使用されていない特徴は、水が本質的に単量体であることである。これまでに、水分子が収まるのに十分な大きさの空洞をアルカン中に形成する自由エネルギーコストは、空洞内部との相互作用によって辛うじて補償されることが確認されている。従って、このコストは水のクラスターを収容するには高過ぎる。そのため、アルカン中の水分子は、実現されない水素結合という形でエンタルピー的なポテンシャルエネルギーを持つ。今回我々は、このエネルギーが、油中に共溶解した水素結合性凝集体と水分子が相互作用するための熱力学的駆動力であることを報告する。分光法、熱量測定法、光散乱法、理論的手法の併用により、この相互作用を利用して一次元超分子ポリマーの構造を調節できることが実証された。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度