Article


生化学:互変異性化とイオン化を介したdG•dT誤取り込みの動的基盤

Nature 554, 7691 |  Published: |  doi: 10.1038/nature25487


互変異性や陰イオン性のワトソン・クリック型ミスマッチは、複製エラーや翻訳エラーにおいて重要な役割を果たしているが、その機構は十分には解明されていない。今回我々は、NMR緩和分散法を用いて、G•T/Uゆらぎ塩基対と3種類のワトソン・クリック型ミスマッチを結び付ける、塩基配列依存性の速度論的ネットワークを決定した。3種類のミスマッチのうちの2種類は迅速な変換が起こる互変異性体(Genol•T/U ⇌ G•Tenol/Uenol;集団の0.4%未満)で、1種類は陰イオン体(G•T/U;中性pHで集団の約0.001%)である。複製時に最初のヌクレオチド結合後、正確な取り込みのための最小限の速度論的機構に、この塩基配列依存的な互変異性化やイオン化の段階を組み込むと、ポリメラーゼやpHの条件の違いにかかわらず、また化学修飾を受けたヌクレオチドに対しても、dG•dT誤取り込みの確率を正確に予測できるようになり、また、これによって塩基配列依存的な誤取り込みの機構が示された。我々の結果は、互変異性化および/あるいはイオン化に対するエネルギー的ペナルティーが、正確な取り込みに対する誤取り込みが約10−2~10−3倍であることの説明になると示している。誤取り込みは、主に互変異性体dGenol•dTやdG•dTenolを介して開始するが、pH 8.4以上では多数を占める種類である陰イオン体dG•dTからの寄与を伴い、一部のヌクレオチドの変異誘発に関与する。

Full text PDF
プライバシーマーク制度