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気候科学:エネルギー輸出地域以外の地域における燃料の補助金の廃止による限定的な排出量削減

Nature 554, 7691 |  Published: |  doi: 10.1038/nature25467


化石燃料補助金の廃止は、非効率的なエネルギー消費を抑制し、再生可能エネルギーに公平な条件を与えることによって、気候変動の緩和に役立つ可能性があると大いに期待されている。2016年9月にG20諸国は、化石燃料補助金を段階的に削減するという2009年のG20首脳会合におけるコミットメントを再確認し、多くの国の政府が、現在の石油価格の下落をその好機として用いている。具体的には、このコミットメントは、化石燃料と化石燃料に由来する電力の価格を通常の市場価格以下に下げる政策を放棄するということである。しかし、こうした補助金の廃止が世界中で実行された際に、気候変動の緩和に大きな影響を及ぼすかどうかは系統的には調べられてこなかった。本論文では、化石燃料補助金の廃止は、世界のエネルギー需要と二酸化炭素排出量に対する影響が意外に小さく、2030年まで再生可能エネルギーの使用の増加につながらないという見通しを示す。低い石油価格の下では、補助金の廃止によって、550 ppmの温室効果ガス濃度を維持するのに必要な炭素価格は、2~12%しか下がらないと思われる。大半の地域では、補助金の廃止がもたらす排出量の削減は、2015年のパリ協定における気候誓約より小さく、一部の地域では、石炭が補助金を受けた石油や天然ガスに置き換わったり、天然ガスの使用が、補助金が支給されるエネルギー輸出地域から支給されない輸入地域へ移ったりするために、世界的な補助金の廃止が実際には排出量の増大につながる可能性がある。今回の結果は、補助金の廃止によるCO2の排出削減量は、所得の高い石油とガスの輸出地域で最も大きく、こうした地域の削減量は気候誓約の削減量を上回り、補助金の削減が貧困層に及ぼす影響は、所得のより低い地域に比べて小さいと思われることを示している。

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