Letter
神経科学:運動開始前のドーパミンニューロン活動は次の運動のゲーティングと促進に関わる
Nature 554, 7691 doi: 10.1038/nature25457
動物の生存にとって、動くか動かないか、動くならいつか、を決めることは重要である。パーキンソン病の患者では、黒質緻密部(SNc)のドーパミンニューロン(DAN)の欠失が、運動開始の障害や運動の緩慢さを引き起こしている。これまで、自己ペース運動でのDANの役割は主としてその持続的活動に帰するとされており、一方、DAN活動の一過的変化は報酬の予測に関連するとされてきた。最近、自己ペース運動の開始前または開始時にDAN活動の一過的変化が見られることを示す研究によって、このモデルに疑問が呈されている。しかし、自発運動開始にこの活動が必要かは示されておらず、この活動と、運動の開始または進行中の運動との関係も明らかになっていない。今回我々は、マウスで、報酬に応答するDANとはオーバーラップしないSNcのDANの多くが、自己ペース運動開始前に一過的に活動を増すことを示す。この活動は行動特異的ではなく、次の運動の速さに関係していた。マウスが静止している時にDANを抑制すると、次の運動の生起確率と速さが低下した。逆に、静止マウスでDANを短時間活動させると、次の運動の生起確率と速さが上昇した。運動開始後にDAN活動を操作しても、進行中の運動に影響はなかった。既学習の一連の運動の開始や実行に関しても、同様の知見が観察された。これらの結果から、次の運動の生起確率や速さに、運動開始前のDAN活動が原因として関係していることが示唆される。

