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アルツハイマー病の高精度アミロイドβ血漿バイオマーカー

Nature 554, 7691 |  Published: |  doi: 10.1038/nature25456


アルツハイマー病に対する疾患修飾治療は、この疾患の最も初期の最も軽度の段階で最も効果があると考えられており、その臨床試験を促進するためには、それを支えるバイオマーカーの情報が必要である。アルツハイマー病の最も初期の病理学的特徴であるアミロイドβの脳内沈着を特定する有効な方法は、アミロイドβの陽電子放射断層撮影法(PET)による画像化か、脳脊髄液中アミロイドβの計測のみである。従って、侵襲性を最小限にした費用効果の高い、血液ベースのバイオマーカーが望ましい。多くの試みが行われているにもかかわらず、我々の知る限りでは、血液ベースのアミロイドβマーカーの臨床的使用を検証した研究はない。本研究では、免疫沈降法と質量分析法を組み合わせた血漿中アミロイドβバイオマーカーの高精度計測について報告する。個々の脳のAβ陽性状態または陰性状態を予測できる、アミロイドβ前駆体タンパク質(APP)669–711/アミロイドβ(Aβ)1–42の比と、Aβ1–40/Aβ1–42の比、およびそれらの複合スコアの能力は、アミロイドβのPET画像化により調べられ、2つの独立したデータセットを用いて検討された。2つのデータセットとは、発見データセット(日本、n = 121)と、検証データセット[オーストラリア、n = 252;11C標識したPIB(Pittsburgh compound-B)-PETを用いて診断された111人と、他のリガンドを用いた141人]であり、どちらのデータセットにも、認知機能の正常な人、軽度認知障害の人、およびアルツハイマー病患者が含まれる。全ての試験バイオマーカーが、高い精度で脳内アミロイドβ量を予測した。特に複合バイオマーカーは、真の基準としてPIB-PETを用いた場合、どちらのデータセットでも約90%に相当する精度で、非常に高い受信者操作特性曲線下面積(AUC)を示した(発見96.7%、n = 121;検証 94.1%、n = 111)。さらに試験バイオマーカーは、アミロイドβ-PET量と脳脊髄液中のAβ1–42レベルと相関を示した。これらの結果は、個人レベルで脳内のアミロイドβ量を予測する際に、血漿バイオマーカーを臨床的に使える可能性を実証している。これらの血漿バイオマーカーは、現在の技術よりも費用対効果と拡張可能性においても優れており、より広い臨床利用や効率的な集団スクリーニングを可能にするかもしれない。

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