生態学:アフリカの保護区における紛争と野生動物の減少
Nature 553, 7688 doi: 10.1038/nature25194
大型哺乳類の個体群は生態学的な要であり、それらの世界的な個体数減少や絶滅は多くの生態系機能と生態系サービスの損失につながる。この傾向を覆すには、個体数減少の決定要因を理解して、個体群の崩壊がいつどこで生じるかをより正確に予測できるようにするとともに、効果的な保全政策や個体群回復のための政策の立案を導くことが必要である。大型哺乳類の減少に関しては、繁殖率の低さ、乱獲および生息地の破壊など、多くの相関要因が知られている。しかし、「武力紛争」という広く見られる要因の影響に関する不確実性はなかなか解消されず、これが保全計画や優先順位設定の取り組みを複雑化させている。複数の事例研究から、紛争が野生動物に対して、局地的には正の影響と負の影響の両方を及ぼし得ることが明らかにされているが、その正味の影響の方向および規模については、これまで時空間的に大きなスケールで定量化されたことはなかった。今回我々は、1946~2010年のアフリカの保護区では、紛争の頻度によって野生大型草食動物の個体数減少の発生および深刻さが予測できることを示す。この期間に起こった紛争は保護区の71%と広範に及び、我々が分析した変数の中では、紛争の頻度が野生動物の個体群傾向の唯一最大の予測因子であった。個体群の軌跡は、平時には安定だったが、紛争頻度がわずかに上昇(20~50年当たり1年間の紛争に相当)しただけで置換水準を下回って大きく落ち込み、紛争頻度の高い地域では、全65年間にわたるデータセットでもより最近の約20年間(1989~2010年)に限定された分析でも、個体群の成長率がほぼ例外なく置換水準以下まで低下していた。しかしながら、完全な個体群崩壊はまれであり、これは紛争で破壊された動物相でも回復し得ることを示している。近年では、人口密度にも野生動物個体群の軌跡との(正の)相関が認められたが、いずれの期間においても、種の体重、保護区のサイズ、紛争の強度(死者数)、干ばつの頻度、採掘可能な鉱物資源の存在、または開発・統治の各種指標の、有意な影響は見られなかった。今回の結果は、紛争地帯での持続的な保全活動と停戦後の迅速な介入が、危機にさらされている多くの種やそれらの個体群を救うのに役立つ可能性を示唆している。

