Letter
天文学:電子と陽電子の宇宙線スペクトルにおけるテラ電子ボルトでの屈曲の直接検出
Nature 552, 7683 doi: 10.1038/nature24475
高エネルギーの宇宙線電子・陽電子(CRE)は、伝播する間に急速にエネルギーを失い、銀河系の高エネルギー過程の探査手段となるので、これを用いて暗黒物質粒子の消滅や崩壊などの現象を観測できる可能性がある。CREのスペクトルはこれまで、気球や人工衛星の観測によって約2 TeVまで直接的に、また地上に設置されたチェレンコフγ線望遠鏡アレイを用いて約5 TeVまで間接的に測定されている。テラ電子ボルトのエネルギー領域におけるスペクトルの屈曲に関する証拠は間接的な測定によって得られてきたが、その結果は大きな系統的不確実性で制約されている。本論文では、暗黒物質探査衛星(DAMPE)によって、25 GeVから4.6 TeVまでのエネルギー領域におけるCREをこれまでにない高いエネルギー分解能と低いバックグランドで直接測定したことを報告する。スペクトルの大部分は、単一のべき乗則モデルではなく「なめらかに屈曲するべき乗則」モデルによく当てはまる。約0.9 TeVでのスペクトルの屈曲の直接的な検出は、これまで間接的な測定によって見いだされていた証拠を裏付け、1 TeVを超えるエネルギーでのCREスペクトルの振る舞いを明らかにしており、テラ電子ボルト未満のCREの物理的な起源の解明に役立つ。

