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大気化学:雷放電によって引き起こされる光核反応

Nature 551, 7681 |  Published: |  doi: 10.1038/nature24630


雷や雷雲は、天然の粒子加速器である。雷雲内の電場によって、相対論的逃走電子のなだれ増幅が生じ、これが制動放射γ線を放出する。こうしたγ線は、地上観測や航空機によって検出されており、地球γ線フラッシュとして人工衛星によっても検出されている。これらのγ線はエネルギーが十分高いため、大気中で光核反応を引き起こす可能性がある。こうした反応では中性子が生成される他、特に14N + γ13N + nγはγ線光子、nは中性子を表す)によって生成される不安定な放射性同位体13Nのβ+崩壊を経て、最終的には陽電子が生成される。しかし、こうした反応で生じたと考えられる中性子や陽電子の観測的証拠が増えているものの、これまで光核反応の決定的な観測例はなかった。今回我々は、中性子と陽電子の明瞭な信号を雷の後に地上で観測したことを報告する。2017年2月6日に日本で発生した雷雨時に、雷から0.5~1.7 km離れた観測地点で、継続時間1ミリ秒未満のγ線フラッシュが検出された。続いて生じたγ線残光は40~60ミリ秒の時定数で指数関数的に暗くなり、その後、約0.511 MeVの輝線放射が1分間続いた。γ線残光に観測された減衰時間スケールと約10 MeVで急激に折れ曲がるスペクトルは、中性子捕獲により励起された原子核からの脱励起γ線によってうまく説明される。この1分間続いた輝線放射の中心エネルギーは電子–陽電子対消滅に相当し、雷の後に陽電子が生成された決定的証拠となる。

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