天文学:重力波源の電磁波対応天体としてのキロノバ
Nature 551, 7678 doi: 10.1038/nature24303
重力波は、ブラックホール連星の合体の観測で発見されており、より低質量の中性子星の合体からでも検出できるはずである。中性子星の合体は、重い放射性同位体に富んだ物質を放出し、こうした放出物が電磁波信号を駆動できると予想されている。この信号は可視光と赤外光の波長において明るく、「キロノバ」と呼ばれる。重力波源GW170817は、近傍宇宙の連星中性子星の合体から生じ、その空間座標と推定距離は比較的よく絞り込まれている。本論文では、GW170817と弱くて継続時間の短いγ線バーストに空間的に一致する、銀河NGC 4993内の急速に減光する電磁波トランジェント天体の観測と物理モデリングについて報告する。このトランジェント天体の物理パラメーターは、中性子星の合体から青色のキロノバが生じるという理論予測とおおむね一致する。放出された電磁放射線は、速度が光速の0.2 ± 0.1倍で不透明度が0.5 cm2 g−1未満の、太陽質量の0.04 ± 0.01倍の放出物によって説明できる。駆動源は、べき乗則の傾きが−1.2 ± 0.3の範囲に収まっており、この値はr過程核の放射性崩壊による駆動と一致する(r過程は、鉄よりも重い多くの元素を合成する一連の中性子捕獲反応である)。スペクトルには、軽いr過程元素(原子番号90~140)と一致するスペクトル線の特徴が見つかった。減光するにつれて、このトランジェント天体は急速に赤くなり、不透明度がより高くランタノイドに富んだ放出物成分が放射に寄与している可能性がある。これは、中性子星の合体が、重力波や、放射性物質によって駆動されるキロノバを生み出し、r過程元素の元素合成源であることを示唆している。

