天文学:中性子星合体におけるr過程元素合成の分光学的同定
Nature 551, 7678 doi: 10.1038/nature24298
中性子星同士の合体は、観測できる3つの重要な現象を引き起こすと予想されている。それらは、継続時間の短いγ線バースト、重力波信号、そして速い中性子捕獲過程(r過程)を介した大量の重元素の合成によって駆動される可視光から近赤外の一時的な放射である。「マクロノバ」や「キロノバ」と呼ばれるこうしたトランジェント天体は、金や白金など希少元素の主な生成場所と考えられている。今までのところ最も有力なキロノバの証拠は、赤方偏移z = 0.356でのγ線バーストの残光の中で再び輝き出した非常にかすかな近赤外光であったが、可視光での同様のイベントを示す観測も複数報告されていた。本論文では、地球から40メガパーセクの距離にある銀河で生じた、重力波源GW170817とγ線バーストGRB 170817Aに付随した明るいキロノバの分光学的同定の結果を報告し、それらの物理的特徴を述べる。我々は、地上の天文台で得られた紫外光から近赤外光の波長をカバーする一連のスペクトルを使って、キロノバが、高速膨張する放出物によって特徴付けられ、そのスペクトル特性は現行のモデルによって予想されるものに似ていることを見いだした。放出物は初期には光学的に厚く、光速の約0.2倍の速度でわずか1.5日のうちに50天文単位ほどの距離に到達した。放出物が広がるにつれて、連続スペクトル上には幅広い吸収線のような線が現れ、これは高速膨張している動的な放出物とより低速(光速の0.05倍)な2成分の円盤風の中で起こる元素合成によって生成された元素の存在を示している。スペクトルモデルとの比較からは、光学的に不透明なランタノイドを含む太陽質量の0.03~0.05倍の物質が、合体によって放出されたことが示唆される。

