遺伝学:アイスランド人の両親と子の1548トリオで見られた、ヒト生殖系列de novo変異に及ぼす親の影響
Nature 549, 7673 doi: 10.1038/nature24018
ヒトゲノムに塩基配列多様性を生み出す変異過程の特徴付けは、遺伝医学にも進化研究にも最も重要である。今回我々は、ゲノムを伝達する両親の年齢や性別がどのようにde novo変異に影響を及ぼすかを理解するために、1548人のアイスランド人と彼らの両親、そして225人の部分集団については少なくとも1人の子を含む三世代について、ゲノム全体で35×のカバー率で塩基配列解読を行った。一塩基多型とインデルの両方を含めた、10万8778個のde novo変異が見つかり、4万2961個が親起源であることが分かった。母系のde novo変異の数は、1歳当たり0.37個[95%信頼区間(CI):0.32–0.43]増加するが、これは父系の1歳当たり1.51個(95% CI:1.45–1.57)の4分の1である。クラスターを形成した変異の数は父親の年齢よりも母親の年齢に伴ってより急速に増加し、また、母系のde novo変異クラスターのゲノム範囲は父系のものよりも長かった。母系のde novo変異の種類は加齢に伴い大きく変化し、シトシン–リン酸–グアニンからチミン–リン酸–グアニンへの(CpG > TpG)de novo変異は1歳当たり0.26%(95% CI:0.19–0.33%)減少し、C > G de novo変異は1歳当たり0.33%(95% CI:0.28–0.38%)増加した。意外にも、これらの加齢に伴う変化はゲノム全体に均一に分布しているわけではない。顕著な例の1つは、染色体8pの20メガ塩基の領域で、母系のC > G 変異率はゲノムの他の領域よりも最大で50倍も高い。加齢に伴う母系の非交差遺伝子交換の蓄積も、大部分がこれらの領域内で起こっていた。過剰な母系変異の影響を受けた領域内での塩基配列多様性の上昇やC > Gバリアントの連鎖不平衡は、その原因となる変異過程が数千年間にわたりヒトに存続してきたことを示している。さらに、ヒトで見られるC > G多様性の局所的過剰は、チンパンジーでも広く見られるが、ゴリラではそれほどでもなく、オランウータンではほとんど見られなかった。これは、ヒトの塩基配列多様性は、年齢、性別、変異の種類、ゲノム上の位置の間の相互作用の進化に起因していることを実証している。

