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免疫学:2種類のLAIR1挿入様式で作製された、マラリア抗原に対するパブリック抗体

Nature 548, 7669 doi: 10.1038/nature23670

以前報告した2人のドナーでは、第19染色体にコードされるコラーゲン結合型抑制性受容体LAIR1の細胞外ドメインが、抗体のV領域とDJ領域の間に挿入されていた。この挿入はさらに体細胞変異を経て、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)が感染した赤血球の表面に発現するバリアント抗原の一種RIFINに対して広範な反応性を持つ抗体を作り出した。このような抗体がマラリア感染に応答してどの程度の頻度で産生されるのかを調べるために、我々はマラリア流行地に生活しているヒトからなる大規模な2つのコホートの血漿をスクリーニングした。今回我々は、マラリアに曝露されたヒトの5~10%が、LAIR1含有抗体を高レベルで保有し、この抗体は感染赤血球に対する応答において優位であるが、熱性マラリアに対する防御の増強には関与しないこと、また、調べたヨーロッパ人の血液ドナーには、このような抗体は見られないことを報告する。このような抗体を産生するB細胞クローンを、タンパク質、cDNA、gDNAレベルで解析することで、V領域とDJ領域の間のさらなるLAIR1挿入の特徴を明らかにし、細胞外ドメインをコードするLAIR1エキソンと隣接するイントロン配列がスイッチ領域に挿入されているという2つ目の挿入様式を発見した。この機構は、エキソンシャッフリングによる二重特異性抗体の産生につながり、この産生ではLAIR1ドメインがVHドメインとCH1ドメインの間の抗体の屈曲領域に正確に位置している。さらに1人のドナーでは、VHドメインとCH1ドメインをコードするゲノムDNAが欠失しており、これはラクダ様のLAIR1含有抗体の産生につながった。ヨーロッパ人の血液ドナーの記憶B細胞のスイッチ領域の塩基配列解読から、転写された遺伝子に由来する鋳型鎖挿入が起こることが多く、まれな場合には、発現に対応する方向性やフレームを持つエキソンで構成されることが明らかになった。これらの結果は、LAIR1挿入の異なる様式により、感染赤血球に対するパブリックで優位な抗体の産生が引き起こされることを明らかにしており、また、鋳型鎖DNAの挿入が抗体多様化の付加的な機構であり、病原体に対する免疫応答で選択したり、B細胞改変に利用できる可能性を示唆している。

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