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免疫学:LKB1シグナル伝達によるTreg細胞の代謝適合と機能適合の恒常性制御

Nature 548, 7669 doi: 10.1038/nature23665

制御性T(Treg)細胞は、免疫学的な自己寛容および恒常性の確立と維持に中心的な役割を担っている。制御性機構の転写プログラミングは、多様な種類の炎症応答の防御においてTreg細胞の機能的活性化を促進する。しかし、Treg細胞がその恒常性を統御し、環境からのシグナルと相互作用する仕組みは明らかになっていない。今回我々は、LKB1(liver kinase B1)が、免疫寛容と恒常性の制御においてTreg細胞の代謝性や機能性の適合をプログラムすることを示す。Treg特異的にLKB1を欠失させたマウスは、TH2型優位な過剰応答を特徴とする致死的な炎症疾患を発症した。LKB1欠失は、Treg細胞の生存や、ミトコンドリアの適合と代謝を妨げるばかりでなく、負の共受容体PD-1およびTNF受容体スーパーファミリータンパク質であるGITRとOX40を含む免疫制御性分子の異常な発現も誘導した。意外にも、Treg細胞におけるLKB1の機能は、従来のAMPKシグナル伝達やmTORC1–HIF-1α軸とは無関係であったが、PD-1やTNF受容体タンパク質群を制御するためのβカテニンシグナル伝達の活性化に関与していた。PD-1活性の阻害は、TH2応答を抑制するためのLKB1欠失Treg細胞の能力と、TSLP(thymic stromal lymphopoietin)によってプライミングされた樹状細胞との相互作用を再活性化した。従ってTreg細胞は、その代謝性および免疫学的恒常性の調整や、アポトーシス性の機能的な疲弊を防ぐためにLKB1シグナル伝達を用いており、これによって免疫と寛容の間のバランスを統御している。

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