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幹細胞:ヒトiPS細胞由来のドーパミン作動性ニューロンは霊長類パーキンソン病モデルにおいて機能する

Nature 548, 7669 doi: 10.1038/nature23664

誘導多能性幹細胞(iPS細胞)は、中脳のドーパミン作動性ニューロンが次第に変性していくパーキンソン病(PD)に対する細胞移植治療の有望な供給源である。しかし我々の知る限りでは、霊長類のPDモデルでヒトiPS細胞由来のドーパミン作動性ニューロンを長期間解析した例はない。今回我々は、ヒトiPS細胞から作製したドーパミン作動性前駆細胞が、神経毒MPTPで処理したPDの霊長類モデル[カニクイザル(Macaca fascicularis)]において、中脳のドーパミン作動性ニューロンとして生存し、機能することを示す。スコア解析とビデオ録画解析から、移植後のサルでの自発運動の増加が明らかになった。組織学的解析では、成熟したドーパミン作動性ニューロンが宿主の線条体へ高密度の神経突起を伸ばしていることが分かり、この効果は、これらの細胞の由来がPD患者か健常者かに関係なく一貫して見られた。底板マーカーのCORINにより選別した細胞は、少なくとも2年間にわたり、脳内でいかなる腫瘍も形成しなかった。また、核磁気共鳴画像法と陽電子放射断層撮影を用いて、移植した細胞の生存、増殖および機能と、宿主の脳での免疫応答が観察された。従って、この霊長類モデルを用いた非臨床研究は、ヒトiPS細胞由来のドーパミン作動性前駆細胞が、PD患者の治療に臨床応用可能であることを示している。

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