Letter
材料科学:CeRhIn5の磁場誘起量子臨界点での面内の電子対称性の破れ
Nature 548, 7667 doi: 10.1038/nature23315
ネマチック液晶が、並進秩序を持たずに方向性を保って配列しているのと同様に、電子ネマチック材料は、基礎となる格子よりも低い電子系の対称性を特徴としている。こうしたネマチック相は、銅系や鉄系の高温超伝導体に見られるが、超伝導が発現する際のネマチック相の役割は、未解決の問題である。ネマチック性は、超伝導と協働ないし競合する役割を積極的に担っている可能性があるが、こうした系に偶然現れる可能性もある。本論文では、重フェルミオン超伝導体であるCeRhIn5における、ネマチック性ゆらぎ相の実験的な証拠を示す。我々は、Hc ≈ 50テスラの磁場誘起反強磁性量子臨界点近傍で磁場誘起状態を観測した。この相は、面外臨界磁場H* ≈ 28テスラ以上で現れ、小さな面内磁場成分の存在下における大きな抵抗率異方性を特徴とする。H*での磁気ひずみ異常が小さいことから、面内対称性の破れと基礎となる格子の間に明らかな関連性はほとんどないことが分かる。さらに、磁気トルクに異常は見られなかったので、この磁場範囲ではメタ磁性が存在しないことが示唆される。典型的な重フェルミオン超伝導体においてネマチックな挙動が現れたことから、ネマチック性と非従来型超伝導の相互関係が明らかになり、ネマチック性が相関物質に共通の性質であることが示唆される。

