システム生物学:リボコンピューティングデバイスを使った細胞での複雑な論理計算
Nature 548, 7665 doi: 10.1038/nature23271
合成生物学は、変革的技術を生み出し得る細胞機能のプログラミングに向けた工学的手法の開発を目指している。DNA、タンパク質およびRNAといった構成要素を組み合わせた合成遺伝子回路は、双安定性、振動、フィードバック、論理能力など、さまざまな機能を果たすことが示されている。しかし、設計可能な直交する高性能部品の数が限られており、構成規則が経験的でしばしば冗長であること、そしてコーディングと作動にかなりのリソースが必要であるため、これらの回路を拡張するのはいまだ困難である。今回我々は、RNAのみのナノデバイスを構築して、生細胞で複雑な論理を評価する方法を報告する。我々の「リボコンピューティング」システムは、de novoで設計した部品で構成されており、予測可能で設計可能な塩基対合規則により作動し、複雑な細胞微小環境内で規定の構成と機能を持つ計算デバイスを、in silicoで効果的に設計することが可能になっている。これらのデバイスは転写後レベルで作動し、拡張したRNA転写産物を使って、感知、計算、シグナル伝達、出力全ての回路要素を同一の自己集合分子複合体中に共局在させる。この複合体は拡散によるシグナル喪失を軽減し、代謝コストを下げ、回路の信頼性を向上させる。我々は、大腸菌(Escherichia coli)においてリボコンピューティングデバイスが、2入力論理を最大900倍のダイナミックレンジで評価でき、このデバイスを4入力のAND、6入力のOR、複雑な12入力式(A1 AND A2 AND NOT A1*) OR(B1 AND B2 AND NOT B2*)OR(C1 AND C2)OR(D1 AND D2)OR(E1 AND E2)にまで拡張できることを示す。プログラム可能なRNA相互作用に基づくリボコンピューティングデバイスの作動に成功したことで、同様の設計原理を採用したシステムを他の宿主生物や細胞外環境でも実行できる可能があることが示唆される。

