神経科学:皮質領域間で異なる集団符号化の時間スケール
Nature 548, 7665 doi: 10.1038/nature23020
大脳皮質は、大きく異なる時間スケールの情報を表現している。例えば、感覚皮質は数十ミリ秒の範囲で変動する刺激を符号化する一方、連合皮質での行動選択は、数秒間にわたる情報の保持を必要とする場合がある。しかし、こうしたさまざまな時間スケールが、主として個々のニューロンに内在する性質から生まれるのか、ニューロン群の集団活動によるのかは、ほとんど分かっていない。この問題が未解明なのは、ニューロン群が符号化を行う時間スケールが十分に研究されておらず、また、皮質各領域での集団符号化の系統的な比較が行われていないためである。本論文では、長い符号化時間スケールを達成するには集団符号が不可欠な可能性があることを示す。また、感覚皮質と連合皮質で集団符号の性質が異なることも分かった。今回、音定位課題実行中のマウスで、聴覚皮質と後頭頂皮質における感覚刺激と行動選択の符号化を比較した。聴覚刺激情報は後頭頂皮質よりも聴覚皮質で強かったが、選択情報は両領域に含まれていた。聴覚皮質でも後頭頂皮質でも、約200ミリ秒間情報を一過的に伝える時間ニューロンにおけるタイリングによって情報を符号化していたが、両領域のニューロン間の機能的共役には大きな違いがあり、それは課題中の事象では説明できない活動の相関として測定された。後頭頂皮質ニューロン間の共役は強く、長い時間差があっても持続したが、聴覚皮質での共役は弱く短寿命だった。後頭頂皮質での強い共役は、長時間スケールの集団符号と、約1秒持続する選択の表現につながった。逆に聴覚皮質は、刺激の高速変動と数百ミリ秒間の選択情報の符号を含んでいた。今回の結果から、集団符号が皮質領域ごとに違い、ニューロン間共役も皮質の神経集団によって異なる性質を持ち、それが情報符号化の時間スケールと行動の精度を決めていることが明らかになった。

