発生生物学:真骨類以外の魚類では口前腸が顔の構造に寄与する
Nature 547, 7662 doi: 10.1038/nature23008
脊椎動物の口部および顔面領域には多種多様な適応的変化が見られるが、口咽頭の初期発生は厳密に一様だと考えられている。口咽頭の初期発生では口および咽頭嚢が連続的に形成され、概して、外表面は外胚葉、内表面は内胚葉でそれぞれ覆われている。脊椎動物胚の前端領域では、外胚葉と内胚葉は直接隣り合っており、こうした最初期の外胚葉と内胚葉との境界(すなわち原口)の初期発生では、一般に外胚葉が陥入して口陥を生じ、これによって前腸内胚葉の前方拡大が制限される。今回我々は、真骨類以外の現生魚類の胚では、口(口陥)の形成に先行して、前脳と形成中の口の上壁との間に、突出した口前腸憩室(pre-oral gut diverticulum;POGD)が発生することを示す証拠を提示する。ポリプテルス、チョウザメおよびガーの胚をマイクロコンピューター断層撮影法(マイクロCT)で画像化した結果、口前領域での前腸の膨出が、咽頭嚢が連続的に形成される前でも開始されることが明らかになった。初期の内胚葉表面を特異的に追跡することのできるin vivo実験からは、口の前方に前腸由来の細胞が存在することが確認された。チョウザメでは、POGDが幼生の口と顔の表面に寄与しており、口歯、唇および感覚器官である触鬚を構成することが分かった。我々の知るかぎり、この結果は、頭蓋顔面の表面構造が内胚葉起源であることを示す、脊椎動物では初めての徹底的な証拠である。ポリプテルスおよびガーの胚では、POGDは突出した頭蓋の固着器官を形成しており、これは自由生活性の脊索動物の幼生に見られる古代のボディープランの特徴である。従って、POGDは、おそらく全ての条鰭類魚類に共通する祖先的な特徴と考えられ、その構造、咽頭様の形態形成および遺伝子発現からは、POGDが初期の脊索動物胚および半索動物胚の前腸に由来する憩室と進化的に関連することを示唆している。ゆえに、POGDの形成は、新口動物に深い起源を持つ祖先的な発生モジュールである可能性がある。

