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物性物理学:2種類のイオンの選択的切り替えを伴う3状態間相転移の電場制御

Nature 546, 7656 doi: 10.1038/nature22389

電場を用いてイオンの移動を制御することによって、材料をある結晶相から別の結晶相へと転移させることができる過程は、電池、スマートウインドウ、燃料電池などの用途に利用できる。移動可能なイオン種の数と利用可能な結晶相の数を増やすことで、原理的には、材料の機能性が大幅に向上する可能性がある。しかし、これまでの研究では、主として単一イオン種(例えば、酸素イオン、水素イオン、リチウムイオンなど)の時間的変化と制御に重点が置かれてきた。今回我々は、エレクトロクロミック効果と電気磁気効果を伴う2種イオン(酸素と水素)相転移の可逆的かつ不揮発的な電場制御について報告する。酸素イオンと水素イオンの挿入と脱離を独立に制御することで、異なる3つの材料相、すなわちペロブスカイトSrCoO3−δ 相、ブラウンミラライトSrCoO2.5相、および未発見であったHSrCoO2.5相の間で可逆的相転移を誘導できることが示された。また、これらの相の特異的な光吸収特性を解析することによって、可視光域と赤外域におけるスペクトル透明性の選択的操作が実証され、スマートウインドウへの応用が考えられるデュアルバンド・エレクトロクロミック効果が現れることが明らかになった。さらに、HSrCoO2.5は弱強磁性絶縁体、SrCoO3−δは強磁性金属、SrCoO2.5は反強磁性絶縁体と、3つの相の磁気的特性と電気的特性が全く異なることから、通常とは異なるタイプの電気磁気結合が可能になり、異なる3つの磁気的基底状態の電場制御が実現できる。こうした知見は、豊富な機能性を持つ多状態間相転移を電場で制御する機会を開くものである。

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