ゲノミクス:ヒマワリのゲノムから得られた、油脂代謝、花成およびキク類進化の手掛かり
Nature 546, 7656 doi: 10.1038/nature22380
栽培種のヒマワリHelianthus annuus L.は世界的な油料作物の一種であり、干ばつを含む多種多様な環境条件で安定した収量を維持できることから、気候変動への適応に有望である。和合性のあるヒマワリの近縁野生種(多くの極限環境種を含む)で耐性対立遺伝子を探掘することで、より高い復元力を獲得できる。本論文で我々は、ヒマワリゲノム(3.6ギガ塩基)の高品質参照配列を、栄養器官および花器官に由来するトランスクリプトームの広範なデータと共に報告する。ヒマワリゲノムの大部分は極めて類似した関連する塩基配列で構成されており、アセンブリには単一分子リアルタイム塩基配列解読法が必要だった。ゲノム解析によって、キク類の進化史の再構築が可能になり、キク類IIクレード(キキョウ類)の基部で全ゲノム三重化が、また約2900万年前にヒマワリ特異的な全ゲノム重複が起きたことが確認された。量的遺伝学と、発現および多様性のデータを組み合わせる統合的な手法によって、花成時期と油脂代謝という2つの主要な育種形質について包括的な遺伝子ネットワークの構築が可能になり、こうしたネットワークにおける新たな候補遺伝子が明らかになった。花成時期のゲノム構造は、一番最近の全ゲノム重複事象によって形作られたものであることが分かり、これは古代のパラログが数千万年にわたって同一の調節ネットワーク内にとどまり続けられることを示唆している。今回得られたヒマワリのゲノムは、農業における制約や人類の栄養必要量を考慮しつつ、生物的および非生物的なストレス耐性、そして油脂生産を向上させるための、遺伝的多様性の利用を目指した将来の研究プログラムの基盤となるだろう。

