細胞画像化:系レベルのスペクトル画像化と解析により明らかになった細胞小器官のインタラクトーム
Nature 546, 7656 doi: 10.1038/nature22369
真核細胞は別個の膜に包まれた細胞小器官に組織化されているため、両立できない生化学的過程の分離が可能になっているが、これらの細胞小器官の活動は調整されている必要がある。例えば脂質代謝については、脂質合成は小胞体に、脂質貯蔵と輸送は脂肪滴に、β酸化はミトコンドリアとペルオキシソームに、そして脂質の加水分解やリサイクルはリソソームに分担されている。細胞小器官の接触は、多様な細胞機能に必須の役割を担っていると考えられるようになってきている。しかし、細胞内での細胞小器官の時間的、空間的な組織化についてはその特徴があまり明らかにされておらず、それは蛍光画像化手法では、単一画像内で区別可能な標識の数が限られているためである。本研究で我々は、マルチスペクトル画像を取得する方法を用いた、細胞小器官のインタラクトームの系レベルでの解析を示す。この方法により蛍光タンパク質の波長範囲でのスペクトルの重複という難題を解決できる。共焦点格子光シート装置と、5段階の画像化インフォマティクスパイプラインを用い、サルの繊維芽細胞株の生細胞において、細胞小器官の数、体積、速度、位置、細胞小器官間の動的な接触をマッピングすることに成功した。6種類の異なる膜に包まれた細胞小器官(小胞体、ゴルジ体、リソソーム、ペルオキシソーム、ミトコンドリア、脂肪滴)で、2者、3者、4者、5者間の相互作用の頻度と位置を明らかにし、これらの関係が時間とともにどのように変化するかを示す。それぞれの細胞小器官は、三次元空間において特徴的な分布と分散パターンを持ち、6種類の細胞小器官の間で再現性のある接触パターンが見られ、このパターンは微小管と細胞の栄養状態によって影響を受けることが分かった。このような生細胞の共焦点格子光シートスペクトル画像化手法は、複数の蛍光プローブを発現するどのような細胞系にも適用でき、正常な状態でも、細胞が薬剤や病原体、ストレスなどの影響にさらされている場合でも利用できる。従って、この手法は、強力な記述手段となり、細胞の組織化と動態についての仮説を立てるために用いることができる。

